NY市場サマリー(10日)株まちまち、ドル下落 利回り上昇
米CPIによる利下げ余地の縮小と原油価格の大幅下落、ドル安の進行は、日本市場における為替動向やエネルギー関連株、輸出銘柄の株価に影響を与えるため。
中東の緊張緩和による安全資産のドル買いポジションの解消が進み、ドル指数は週間で1.6%下落しました。一方で米CPIが予想通り加速したことで米債利回りは上昇に転じ、ハイテク株が市場を牽引するものの、インフレ高止まりによる利下げ余地の縮小が相場全体の重しとなっています。原油価格は停戦交渉の進展観測から週間で13%超と大幅に下落しており、エネルギーコスト改善を通じた市場への影響が注目されます。
<為替> ドルが下落した。週間では1月以来最大の下落幅となる見込み。投資家は、湾岸地域での停戦が維持されれば石油輸送が再開されるとの見方から、安全資産を売却した。
米ドル指数はこの日、0.22%下落した。今週に入ってからは1.6%安となっている。7日に米・イランの停戦合意が成立して以来、有事のドル買いポジションは解消されつつある。
ユーロは1.173ドルで取引されている。今週は1.8%上昇した。ポンドは週間で2%上昇し、1.347ドルとなった。
リスクに敏感なオーストラリアドルとニュージーランドドルは、週間では対ドルで3%近く上昇する見込み。
円は対ドルで一時、1ドル=159.255円まで下落した。長年にわたる日本の低金利政策のほか、このところの原油価格高騰への脆弱性から圧力を受けてきた円は、対ドルで安値から切り返したものの、上昇幅は小さく、他の通貨に対しても売られた。
NY外為市場:
<債券> 国債利回りが上昇した。朝方発表の米消費者物価指数(CPI)の伸びが予想通り大幅に加速したことを受けた。市場は、11日に開催が予定される米・イラン和平交渉の行方を注視している。
3月の米CPIは前年比で伸びが加速したほか、前月比では2022年6月以来、約4年ぶりの大幅な伸びとなった。ただ、伸びは予想通りだったとの受け止めから、市場の反応は概ね限定的で、利回りは小幅低下する場面も見られたが、終盤にかけて上昇に転じた。
その他の経済指標では、ミシガン大学が発表した4月の消費者信頼感指数(速報値)は過去最低の47.6に急低下した。消費者は今後12カ月でインフレ率が急上昇すると予想していることも明らかになった。
10年債利回りは2.8ベーシスポイント(bp)上昇の4.321%。ただ、週間では約3bp低下し、2週連続低下の見込みとなった。
金利動向に敏感な2年債利回りは2.3bp上昇の3.806%。ただ、週間では5bp低下し、こちらも2週連続低下の見通しとなった。
2年債と10年債の利回り格差は51.3bp。
30年債利回りは2bp上昇の4.918%となった。
CMEのフェドウオッチによると、市場は連邦準備理事会(FRB)が12月会合で21.5%の確率で少なくとも25bpの利下げに踏み切るとの見方を織り込んでいる。前日の27.3%から低下した。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.621%、10年物が2.374%となった。
米金融・債券市場:
<株式> まちまちの展開で取引を終えた。投資家は中東和平交渉の行われる週末を前に、様子見の姿勢を取った。
ダウ工業株30種とS&P500種指数は下落して取引を終えた一方、ハイテク株(.SPLRCT)の上昇がナスダック指数を押し上げた。3指数全てが週間で上昇を記録した。
S&P500の11 主要セクターのうち、生活必需品セクター (.SPLRCS)が下落する一方、ハイテク株 (.SPLRCT)が値上がりを主導した。フィラデルフィア半導体株指数(.SOX) は過去最高値を更新した。ブロードコム(AVGO.O)とエヌビディア(NVDA.O)はそれぞれ4.7%、2.6%上昇した。
金融株(.SPSY)は、来週に米大手銀行の決算発表を控えて低調だった。
台湾積体電路製造(TSMC)の米国上場株は1.4%上昇。第1・四半期の業績を好感した。
人工知能(AI)向けクラウドサービスを手がける米コアウィーブ(CRWV.O)は10.9%急騰した。AI新興企業アンソロピックとの複数年契約を発表したことが材料となった。
ニューヨーク証券取引所では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.13対1の比率で上回った。ナスダック市場では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.5対1の比率で上回った。
米取引所の合算出来高は158億3000万株で、過去20営業日の平均191億8000万株を下回った。
米国株式市場:
<金先物> 米イラン停戦合意を受けたドル安を背景に週間では上昇したものの、停戦の持続性や金利への影響を見極める動きから、この日は横ばいで推移した。米金先物の清算値(終値に相当)は前日比0.6%安の1オンス=4787.40ドルだった。
米イランの2週間の停戦合意後も、ホルムズ海峡の封鎖解除や、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエルとの紛争終結には至っていない。ハイリッジ・フューチャーズの金属取引ディレクター、デビッド・メガー氏は、「中東の緊張緩和で利下げ期待がやや高まり、ドルが圧迫されたことが金相場の支えになった」と指摘。ドル安は、ドル建ての金の割安感につながる。一方、3月の米消費者物価指数(CPI)は前月比が約4年ぶりの大幅な伸びとなった。インフレ高止まりは米連邦準備理事会(FRB)の利下げ余地を狭めるため、利回りを生まない金にとっては重しとなる。
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